「天然繊維の王様」「繊維の女王」「糸の宝石」とも言われる絹(シルク)。

美しい絹糸のもととなる糸は蚕(カイコ)という昆虫が作り出す繭から作られていますが、蚕が絹を吐く仕組みは、一体どうなっているのでしょうか?

この記事では、蚕が糸を吐く仕組みについてまとめています。

蚕 糸 仕組み

糸を吐く昆虫蚕とは?

蚕はカイコガというガ(蛾)の幼虫です。

何千年も前に人が飼育しやすいように家畜化させたチョウ(蝶)やガ(蛾)の仲間で、祖先はクワコという桑の葉を好んで食べるガだと言われています。

クワコは現在でも野生下に生息していますが、蚕は野生回帰能力を完全に失っているため野生下では生育できず、野生下には生息していない昆虫と言われています。

蚕が糸を吐く仕組みはどうなってるの?

「蚕が糸を吐く」と言われていますが、実際には、蚕の体の中で液体だったものが蚕の体から出た後に繊維化して糸になっています。

蚕には、桑の葉などを食べる口と、糸となるものを出す吐糸口(としこう)の、ふたつの口があります。

成長した蚕は、絹糸腺(けんしせん)と言う器官に液状絹がいっぱいになります。

液状絹は水飴のような液体で、蚕の体の中の細い吐糸管を通って口元にある吐糸口から出されます。

蚕はこの水飴のような液状絹を周りの物に貼り付けてから、頭をくねくねと八の字に動かしながら液を引き出し伸ばしています。

蚕は2日から3日ほど吐き出し続けて繭を形成します。

繭は1本の糸から形成され、糸の長さは約1500mにもなります。

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蚕はなぜ繭を作るの?

蚕は、卵→幼虫(4回脱皮をする)→サナギ→成虫、と姿を変えながら成長します。

幼虫からサナギ化したばかりの時のサナギの皮膚は、非常にデリケートで傷つきやすくなっています。

また、サナギは羽化して成虫になるまでは動いて移動することもできないので、サナギを襲う動物や昆虫、雨風や細菌などから身を守るために、蚕は繭を作ってから繭の中でサナギ化します。

まとめ

卵から孵化した蚕は約25日で繭を作ります。

蚕の作る繭の絹糸は、蚕の体内の飴状の液体が繊維化して糸になったもので、蚕自身がサナギ化した時に身を守るために作るものです。

独特の光沢を持つ蚕の絹糸は、高級な織物の原料となる以外に医療分野、化粧品やスキンケア用品、はては食料品と様々なものに利用されています。

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