蚕は、私たち人間の歴史の中で、長く家畜として飼われてきた昆虫です。
ご存知の通り、蚕の作る繭は私たちに絹をもたらしてくれました。
ここで、蚕から繭になり、糸になるまでについて詳しくお話しします。
蚕が繭になり糸になるまで
蚕の繭一つから、糸は1000~1500メートルほど取れますが、一本一本が細いため、数個の糸を撚り合わせて糸を作り出していきます。
マブシと呼ばれる、繭を作るための細かい仕切りのある箱に入れると、蚕は糸を吐き、足場作りをはじめます。
それからたくさん尿をして、2~3日のうちにどんどん繭をつくって完成させます。
蚕が繭を作り、サナギになり、羽化して繭を出てくるまでおよそ20日かかります。
糸を取る場合は、蚕が繭を作っておおよそ10日経った頃が適しています。
もちろん蚕の中には、何らかの理由で繭の中から出てこずに亡くなってしまうこともあります。
そういった繭は製品として使えません。
繭を70度のお湯で煮て、一度差し水をした後、火を止めて、繭が透明になったら40度のお湯にに離します。
しばらくしてから、割り箸や歯ブラシなどで繭の表面を擦ると糸口が摘めるようにようになります。
出ている糸を引っ張ると、どんどん繭の糸を引き出していけます。
もし、実験としてご自分でされる際には、蚕の糸は大変細いので、繭数個分を糸巻きやペットボトルにまきだして縒りながら、糸を作っていきましょう。
しかし、蚕の口から吐き出された糸を接着するセシリンという物質が付いているため、一度取り出した糸を巻き直していかなければ、くっついて離れなくなってしまいます。
できた糸を何度か煮沸しセシリンを溶かして、絹糸の生糸をつくることができるのです。
まとめ
人間の歴史と長く関係してきた蚕は、昔からお蚕様と言われ大切にされて来ました。
蚕が卵から孵り、繭になって交配をする相手を探し、その命を終えるまでおよそ50日です。
なぜ繭をつくるかというと、サナギになり、成虫になるために身を守る術だったのです。