美しい絹糸を作る繭を作ってくれる蚕(かいこ)は、「桑の葉しか食べない」と聞いたことがありませんか?
または、「蚕と言えば桑の葉」が思い浮かぶ方がいるのではないでしょうか。
蚕はなぜ、桑の葉しか食べないのでしょうか?
この記事では、蚕が桑の葉を食べる理由や桑の葉以外のものは食べないのかについてまとめています。
蚕は家畜化された昆虫
蚕は人の手によって家畜化された昆虫で野生下には生息しません。
野性に放されても人の手がないと生育できない昆虫です。
蚕の歴史は非常に古く、もともとは中国で家畜化されクワコという蛾が祖先と言われています。
(クワコは野生に生息しています)
歴史が古すぎて、人がどうして蛾を家畜化できたのかは解明させていません。
蚕が桑の葉以外を食べないのはなぜ?
東京農工大学の「カイコの食性と人工飼料の開発」というレポートによると、蚕が桑の葉を食べるのは、「蚕にとって桑の葉が美味しいから」他の葉を食べないのは蚕にとって「不味いから」と書かれています。
こちらの大学の実験で蚕は小顎(人間なら舌にあたる器官)が無い状態だと他の葉も食べるということが分かっています。
蚕が桑の葉を食べるのは、まず触覚で桑の葉の香りを感じて桑の葉に寄っていき食べ始めます。
桑の葉にはショ糖、ブドウ糖、果糖などの甘み成分が含まれていて、その甘みが蚕にとって「美味しい」のだろうと考えられるそうです。
実験では蚕は桑の葉の香りがしても味の無いろ紙には、寄っていくけど食べないことなどが分かっています。
蚕は桑の葉以外を食べることができないの?
「蚕は桑の葉しか食べない」と言われていますが、蚕は桑の葉以外の葉も食べることはあるそうです。
しかしほとんどの蚕は成長できず、成長できても満足な繭を得ることが難しいので、実質「蚕の食料は桑の葉のみ」と言って誤りではないのだとか。
ただ現在は、蚕が食べられる人工飼料の開発、改良が進んでおり、桑の葉以外のものも食べられる広食性の蚕の育成も進んでいます。
(桑の葉しか食べられない蚕は狭食性)
まとめ
現在では蚕用の人工飼料の開発や桑の葉以外を食べられる蚕の育成が進んでいるものの、蚕は「甘くて美味しい桑の葉しか食べない」昆虫と言えるでしょう。
ちなみに蚕の祖先とされるクワコも桑の葉を好んで食べる蛾で現在も野生下の雑木林などに生息しています。