地域によっては小学校理科の学習教材として飼育されることもある蚕ですが、ペットや昆虫の古い飼育本などには蚕の繁殖や飼育を個人で行うことは法律で禁止されていると書かれています。
蚕の飼育は法律で禁止されているのでしょうか?
調べてみました。
目次
蚕の飼育や繁殖は法律で禁止されている?
現在は個人でも蚕を繁殖させたり飼育することは可能ですが、かつては法律で禁止されていました。
かつて養蚕は日本の基幹産業だった
養蚕(ようさん)の歴史はとても古く、はじまりは諸説あるものの5~6千年も前にクワコという蚕の祖先が中国で家畜化されたのが始まりだと言われています。
日本の養蚕は明治時代後半から大きく技術的に進展し、世界のトップとなるほどの技術を生み出しました。
そして明治から昭和初期には中国を抜いて世界一の生糸輸出国となります。
まさに蚕は日本の近代化を支えました。
微粒子病という蚕の伝染病
日本の輸出が伸びた理由は技術の他にもありました。
当時絹の大産地であったヨーロッパの養蚕で微粒子病(びりゅうしびょう)という蚕の伝染病が蔓延したことです。
それによってヨーロッパの養蚕は大打撃を受け、被害にあっていない日本の輸出量が伸びました。
そこで日本は微粒子病の蔓延を防ぐために法律で蚕の繁殖を管理したのです。
昔の蚕農家さんは繁殖させていなかったの?
日本でも養蚕の歴史は古いです。
法律によって蚕の繁殖が管理されていた頃は、微粒子病検査の設備、技術のない人は蚕の繁殖を禁止され、蚕の繁殖、配布事業は微粒子病検査が可能であった製造業者や、国、地方自治体などの公共研究機関のみが行っていました。
現在では一般の人でも繁殖可能
微粒子病の原虫は自然界に多数存在するものの、現在の日本では養蚕が盛んではなくなったこともあり禁止をといても影響がないだろうということで蚕農家でない一般の人でも蚕の繁殖など可能になりました。
今では個人向けに飼育セットなどを販売しているところもあります。
まとめ
昔の地図帳を見てみると、たくさんの桑畑マークが見られることからも養蚕が盛んであったことが伺えます。
現在の日本の養蚕は、戦争による貿易の悪化、食料増産のための桑園の減少、はては中国からの安い生糸流出などで衰退していきました。
しかし蚕の品種改良や広食性蚕の育成などはされています。
(蚕は桑の葉しか食べられない狭食性)