古くから生産され現在でも高級素材として知られる絹(きぬ・シルク)は、蚕の繭から得られる繊維であることは広く知られています。
では、その繭からどのようにして糸を取るのかはご存じでしょうか。
この記事では、蚕からできた絹の糸の取り方についてまとめています。
蚕の繭から絹の糸を取る?!取り方は?
簡単に流れを説明しますと以下になります。
- 繭の表面にあるフワフワした毛羽(けば)を繭から取り除く。
- 蚕の作った繭を煮沸消毒をかねてお湯でよく煮る。
- お湯の中で繭をこすると繭を作っていた糸がほぐれてやがて糸口が見つけられるようになる。
- 糸口(糸の端)を引っ張って、糸を巻き付ける為に用意した棒状の物(糸巻棒)に、糸を巻き付けていく。
蚕の繭は毛糸玉のような1本の糸
蚕が作る繭は、手芸などで使う毛糸玉のようなもので、一本の糸が丸まってできています。
一本の糸では細すぎて切れやすいため、いくつかの繭の糸を同時に引っ張って寄り集めて一本の糸にしながら、糸巻棒に巻き付けていきます。
大きさ3㎝ほどの1個の繭から取れる糸の長さは、1300~1500mです。
蚕の繭を作る繭糸について
蚕の繭を作る繭の糸は、フィブロインとセリシンというタンパク質でできています。
フィブロインは繊維状のタンパク質、セリシンは糊(のり)状のタンパク質で、蚕の繭はセリシンによって固めて形成されます。
繭をお湯で煮るとセリシンは溶けてお湯に残り、繊維状のフィブロインが糸として取れるようになります。
昔はセリシンが残ったお湯は廃液として捨てられていましたが、セリシンにはスキンケアに役立つ効果が期待できることが分かり、現在は様々なスキンケア用品に利用されています。
絹の糸に光沢があるのはなぜ?
繭糸の繊維状のタンパク質フィブロイは、フィブリルという細い数百本の繊維の束からできています。
そしてこのフィブリルはさらに細いミクロフィブルという繊維数十本からできています。
フィブロインはでこぼこの三角形をしており、この形状の繊維に光があたると様々な反射を起こして光沢となっています。
まとめ
蚕から作られる繭は、毛糸玉のように一本の糸からできており、糊状のタンパク質で固めてられて卵のような形状をしています。
製品を作る場合は別ですが、繭から糸を取ること自体はそれほど難しいことではないので、地域によっては小学校の授業で蚕の飼育や繭から糸を取る授業があるようです。