養蚕はほんのひと昔まえまで、農家は兼業している家も多く、盛んに行われていました。
家の中の風通しの良い場所に桑の葉を敷き詰め、蚕を飼って絹糸を取っていました。
蚕の餌は桑の葉に限定されています。
養蚕農家は桑畑も同時に育てていました。
蚕の糞に含まれる成分とは?
蚕の糞の成分はタンパク質が18.6%、炭水化物が56%です。
蚕の糞はそのまま飼料になります。
また肥料としても使われています。
発酵させることにより、更に栄養価が高くなります。
1齢の蚕の糞は有機物を多く含んでいますが、熟個体になると、リン酸や窒素、カリウムを多く含む糞をします。
蚕の糞の肥料について
蚕の糞は蚕沙と呼ばれ、肥料として活用できます。
蚕の糞や食べ残した桑の葉などを一緒にして肥料として使います。
蚕の糞を取るためには、糸網を使います。
糸網は蚕の上にかぶせて、そこに桑の葉をのせます。
すると、蚕は網を潜り、上の新鮮な桑の葉に移動します。
移動したら蚕を網ごと持ち上げて、新しい場所に移動します。
木箱を使っている場合が多く、次の木箱にかぶせるだけです。
元の場所には、糞と、食べかけの桑の葉が残りますから、それを、掃除を兼ねて取り除くと肥料になります。
蚕沙はそのまま野外に放置して、堆肥として使う方法と、堆肥舎に蓄積する方法があります。
堆肥舎に蓄積した場合は、その中に含まれる乳酸菌や、酢酸菌によって発酵します。
堆肥舎はコンポートを使います。
桑だけを食べているため、発酵した蚕沙はよい香りになります。
発酵した蚕沙は肥料として使うだけではなく、飼料としても利用することができます。
逆に野外に放置した場合は、雨で黴が生えてしまったり、蒸れて悪臭がしたり、雑菌がはびこるなど、問題が発生することもあります。
蚕沙は古来から、漢方としても用いられ、現在では食品添加物に使われています。
また化粧品としての研究もされています。
まとめ
蚕は昆虫の中で、唯一家畜として飼育されています。
繭を作る絹糸をとるのが目的ですが、副産物の糞も桑の木を育てる肥料にしたり、家畜の飼料として使われてきました。
古来より、リサイクルシステムが機能していたお手本にあげられています。