チャバネセセリはセセリチョウ科に属する茶色のセセリチョウです。
他のセセリチョウの仲間と同じで小ぶりな体つきと翅を持ち、体毛がみっしり生え、つぶらで大きな黒い目が印象的な可愛らしいチョウです。
地味な色合いで翅も小さいので、チョウというより蛾なのではと思う方も多いのではないでしょうか。
ここでは、そんなチャバネセセリの幼虫と蛹の特徴についてご紹介します。
チャバネセセリの幼虫の特徴は?
孵化したばかりのチャバネセセリの幼虫は、3mm程度の細長く白い体の先端に黒く丸みを帯びた頭部がついているような姿をしています。
主にイネやススキ,チガヤ,エノコログサといったイネ科の植物の細長い葉を縦に折り曲げた筒のような巣を作り、その中に潜んでいます。
特徴としては、晩秋に孵化した幼虫は、そのまま少量のエサを食べて成長しながら冬眠せずに冬を越すという習性があることがあげられるでしょう。
夏ごろに孵化した幼虫が約1ヶ月で蛹になるのに対して、晩秋に孵化したものは5ヶ月ほどかけて翌年の早春に蛹化するようです。
また、この冬を越す幼虫は脱皮の数が一回多いとも言われますが、この脱皮での見た目や大きさの変化はあまりないということです。
成長に伴う特徴的な変化としては、中齢以降の幼虫の頭部に茶色っぽくなり顔のような独特の縞模様ができるため、比較的他の種類の幼虫との判別が容易になるのですね。
孵化時に3mm足らずだった幼虫が蛹化前には10倍以上の長さにまで細長く成長するのだそうです。
チャバネセセリの蛹の特徴は?
35mmくらいまで長く成長した終齢幼虫は、10mm以上縮んで前蛹状態に入ります。
食草であるイネ科の植物の地面から5~15㎝程度の高さの場所で蛹になるということですが、これは風が吹いても揺れにくいなどの理由からなどといわれるようです。
チャバネセセリの蛹は綺麗な黄緑色で、頭の部分に一本の角があるという見た目の特徴があります。
一週間程度で羽化する直前には、蛹の殻の中にいる成虫の翅の色が透けて見えてきて、腹部が急に黒くなってくるということです。
まとめ
細長いイネ科の草で筒のような巣を作るチャバネセセリの幼虫、細長い体を器用に上下に反転させながら巣を作るのですね。
また、冬眠せずエサを食べて成長しながら冬を越すというのも特徴的です。
もちろん冬を越すのに適した環境のある地域になりますので、早春に入ってチョウになるのは暖かい地域からになり、徐々に北上していくということになります。
同じセセリチョウ科の仲間でも様々な習性があって興味深いですね。