絹糸を作り出すということで、太古昔からお蚕様と言われ、神様の使いとして大切に飼育されてきた蚕。
最近、その蚕に毒がある、という話があります。
そこで、その話が事実かどうか、詳しくお話ししていきます。
蚕の成虫には毒がある!?
蚕を飼っていると世話をしていて、噛まれることもあります。
噛まれたと言っても、それほど痛いものでもありません。
毒がある、ということが事実であれば怖いですね。
しかし、実際、どうということもありませんでした。
なぜそのような話が出たのか?
疑問に思い、調べることにしました。
しかし、調べては見たものの、蚕に毒はありません。
ただ一つ考えられることがあります。
蚕と同じくシルクを作り出すヤママユガという蛾がいます。
見た目が16センチ以上と大きく、不気味な印象のこの蛾の仲間で、中南米に生息するベネズエラヤママユガは、毒ヘビと同じく強い毒を持っているそうです。
毒があるのが確認出来るのは、この、ベネズエラヤママユガだけで、蚕に毒があるという話は事実ではないのです。
ただし、日本に生息するヤママユガに毒はありません。
安心してください。
ちなみに、ヤママユガの作り出すシルクは緑色をしていて、質が良く、蚕が作るものより高級品として知られています。
また、同じように、蚕の食べる餌である桑の葉に、毒があるという話があります。
桑の葉は、人間にとって健康に良い成分がある事が知られていますが、毒があると言われることがあるので、併せてご説明します。
桑の葉には、糖分の吸収を阻害する成分があり、桑を食べない昆虫が誤って桑の葉を食べると、糖分が阻害されることにより、栄養が取り込めずに、最悪亡くなることがあります。
しかし、蚕には特殊な消化能力があり、糖分を阻害する物質を中和することができます。
ですから、蚕自身には影響がありません。
もちろん、桑に毒があるわけではありません。
このように、蚕に毒があるというのは、事実無根なのです。
まとめ
蚕に毒があるということは全くの誤解です。
蚕に触ったり、噛まれたからからといっても、毒になることはありません。
蚕の成虫は、真っ白でフワフワとした見た目がとてもかわいい昆虫です。
どうか、誤解しないであげてください。