美しい絹糸を作る昆虫の蚕。
地域によっては小学校の授業で蚕の飼育をするところがあるようです。
また、蚕は個人でも飼育することができ、「蚕の飼育セット」やキットなどが販売されています。
蚕の飼育方法とは、どのようなものでしょうか。
この記事では、蚕の卵からの飼育方法についてまとめています。
蚕は2種類の卵を産卵する
家蚕(かさん、以下、蚕)は、2種類の卵を産卵します。
ひとつは産卵された年に孵化する卵で、非休眠卵と呼ばれます。
もうひとつは、冬を越さないと孵化しない卵で産卵された翌年の春に孵化します。
こちらの卵は、越年卵、休眠卵と呼ばれます。
休眠卵は産卵後の24時間ほどは非休眠卵と同じ黄白色ですが、48時間後には赤茶色、藤ねずみ色、黒っぽい色と変色します。
蚕の卵の大きさは長径1.3mm、短径1mm、厚さ0.5mmほど。形は平らな楕円形で、一匹の蚕は、約500~700粒もの卵を約3日間かけて産みます。
非休眠卵は産卵から2週間後くらいに孵化します。
蚕の飼育について
飼育するために準備するもの
- 蚕の卵(購入する場合、卵は上記の休眠卵になるため購入先に飼育開始日を伝えます)
- 蚕の餌となる桑の葉
- 深さの浅い菓子箱のような箱(2個)
- キッチンペーパー、もしくはティッシュペーパーと4ミリ目の防鳥ネット
- 仕切りを作るための厚紙など
※夜に気温の下がる春に飼育する場合は、電気スタンドも用意しておきます。
卵から蚕が一生を終えるまでの流れ
- 蚕の飼育に適した季節は、5月から10月頃の桑の葉がある時期です。気温は25度くらいが目安です。
- 卵の孵化(2~3mmの蚕が生まれてきます)
- 生まれた蚕の幼虫を飼育箱に移して餌を与え、糞の始末をします。キッチンペーパーと防虫ネットは、蚕の移動に使用すると便利です。幼虫は4回脱皮します。孵化から繭作りを始める前までの日数は25日くらいです。
- 繭作りの準備、飼育箱の中に蚕の数分の仕切りを厚紙などで作ります。糸を吐くようになった蚕を仕切りに移します。繭は4日ほどで完成します。
- 繭が完成したら蚕は繭の中で、サナギに変わります。
- サナギに変わって10日ほどで羽化します。サナギの殻を破って口から酵素を出して繭を溶かしてカイコガとなって出てきます。
- 羽化したカイコガは繁殖行動をし、産卵した後は一生を終えます。孵化してから50~60日ほどが蚕の一生になります。
まとめ
蚕を卵から飼育することは、それほど難しくはありません。
餌については桑の葉を手に入れることが難しい時は蚕用の人工飼料もあります。
ただ桑の葉を食べた蚕は人工飼料を食べなくなるので併用などはできません。