蚕は、卵から幼虫へ、幼虫からサナギへ、サナギから羽化して成虫へと完全変態する生き物です。
蚕の繭の中がどうなっているのか、蚕が羽化し、どう成虫になるのかについて、少し見てみましょう。
蚕が繭の中で羽化するまで
蚕は繭の中で羽化します。
何故、蚕が繭にならなければならないかというと、羽化する前のサナギの状態から羽化まで完全に無防備なため、身を守らなくては天敵や風雨で容易く命を落とし、子孫を残せないからなのです。
蚕は、繭を作りその中でサナギへと変化します。
蚕が繭を作ることを営繭(えいけん)といいます。
蚕は繭の中で少しずつ小さくなり、幼虫から脱皮してサナギへと変化します。
営繭を始めておよそ15日前後で羽化をし始めます。
羽化が完了した蚕の成虫は、口から体液の酵素を出して繭を湿らせ、繭を形成するセシリンを溶かして繭を破ります。
外から見ると、繭を頭から突き破って、空いた穴から少しずつ繭から身体を出してくるような格好になります。
頭から繭を突き破ってきて完全に身体を出し切るまでの時間は、10分から20分くらいかかります。
ちなみに、蚕が出た後の繭の中はどうなっているかというと、脱皮した幼虫の抜け殻、サナギの抜け殻と、羽化したときの抜け殻が残っているだけです。
こうして、蚕は身を守るために作った繭から出て、少しすると、赤茶色の尿をします。
これを蛾尿といいます。
そして、蚕は繭から出て1時間以内に、初めてその羽を広げます。
ようやく成虫になるのです。
蚕の成虫は白くてふわふわとした毛に、なんとも言えない可愛らしさがあります。
しかし、蚕は長い間の品種改良の結果、羽根があっても飛べないため、逃げることはありません。
蚕は羽化を終えると子孫を残すために交配を行う相手を探し、卵を産んでその短い命を終えるのです。
まとめ
蚕は成虫となるために幼虫からサナギになり、羽化をします。
その過程で、身を守るために繭を作り、羽化を終えて繭から出た後、完全に成虫となるのです。