アオスジアゲハは、日本では本州より南の広い地域に分布する蝶です。
その幼虫が、街路樹として植えられているクスノキなどを好んで食べることから、都市部の公園などでも多く見られる蝶で、その黒い翅に鮮やかに映える帯状の青い模様は、非常に美しく、思わず目を奪われます。
この美しい蝶が羽ばたくまでに、幼虫はどのようにして過ごすのでしょうか。
アオスジアゲハの幼虫期から蛹期(サナギでいる期間)までを見てみましょう。
アオスジアゲハの幼虫の時期の生態は?
アオスジアゲハは、4月から9月にかけて、年に2回~4回発生します。
幼虫は、卵から孵ると、クスノキ科のクスノキやタブノキやシロダモ、その他にニッケイやセリなどの葉を食べて育ちます。
幼虫は、普段いる葉っぱとは別の葉っぱを食べてから元の場所に戻ったり、糞を片付けたりします。
幼虫はハエやハチの仲間のうち、他の昆虫の幼虫に卵を植え付ける寄生ハエ・寄生ハチに狙われることがあります。
そうなるとサナギになっても羽化することができません。
アオスジアゲハの幼虫は、こうした天敵から自分を見つかりにくくして、身を守っているのです。
幼虫は約1か月で、5回脱皮をして3cmから4cmのサナギになります。
気温が下がり、日照時間が少なくなってからサナギになったものは、そのまま越冬します。
サナギは、一般的なアゲハチョウが幹にサナギを作るのとは違って、アオスジアゲハは葉に作ります。
アオスジアゲハの幼虫が羽化するまで
アオスジアゲハの幼虫は、サナギになってから10日ほどで羽化します。
ただしこれは暖かい時期の場合で、気温が下がってからサナギを作るものは冬を越すため、数か月間もサナギのまま過ごし、翌年の春にようやく羽化します。
同じアオスジアゲハであっても、サナギを作る時期によって、その期間は大きく異なるのです。
まとめ
幼虫がサナギになって、美しい蝶になる。
自然の中で、なにより不思議な現象です。
しかも、アオスジアゲハの幼虫は、その発生時期により、サナギでいる期間がまったく違う、とても不思議な生態をもつ生きものでした。
寄生虫に狙われるなど、危険にさらされながら、一生懸命に作ったサナギ。
もし見かけることがあっても、絶対に触らず、無事羽化できるようにそっと見守りたいですね。