太古昔から人間に珍重され、愛されてきた、美しいシルクの生糸を作ることで有名な蚕。
家畜化された唯一の昆虫であり、人間の手で品種改良された初めの昆虫と言われるように、人間との歴史が長い虫です。
最近では化粧品や医薬品なで様々な用途が開発され期待されていますが、羽化した姿が可愛いということで、ペットにしたいという方も増えています。
その蚕について詳しくお話しします。
蚕の成虫が餌を食べない理由は?
蚕の成虫は餌を食べないと聞いたことがあるでしょうか。
その理由についてお話ししましょう。
蚕はその一生の最期に子孫を残して命を終えます。
そのために繭を作って身を守り、さなぎになります。
そして、繭の中で羽化し、繭を破って成虫になるのです。
蚕は、人間が世話をして餌をやらなければ生きられないように完全に家畜化され、逃げないように品種改良を重ねられた唯一の昆虫です。
蚕の一生は50日ほどと短いものですが、その間に桑の葉を毎日与え、掃除をしてやらねばなりません。
蚕は、脱皮する前に必ず眠という食べない時期を迎えます。
そうして、脱皮を4回繰り返していくのですが、成虫になる直前に繭を作るため、エネルギーを蓄えるように繭を作る用意をする時期には、蚕はたくさん餌を食べます。
しかし、成長し、繭になる準備が出来ると、自然に餌を食べなくなります。
これを熟蚕(じゅくさん)と言います。
繭を作るための力が備われば食べるのをやめ、その口の役割を終えて、吐糸口という第2の口から糸を作る成分を吐き出し糸を作り始めます。
しかし、それを全て吐き切らないと蚕は、命の危険に晒されてしまうので、糸は全て吐き切ります。
そして繭を作り出し、その中でサナギへと成長します。
しばらくするとサナギから羽化し、成虫になって繭から出るのです。
成虫になった蚕はメスと交配を行い、そしてその命を終えますが、繭を作る直前から最期までの期間、食事をすることはありません。
まとめ
蚕が成虫になると餌を食べなくなる理由は、羽化する準備が整い、繭を作るためです。
繭から出た成虫は交配をした後、命を終えるため、結果食事をしないのです。