産卵に適した場所を探して飛び回り、幼虫が食べる植物に卵を産み付けることは、キアゲハに限らずあらゆる成虫にとって大切な役割といえます。
キアゲハが産卵する時期は春から秋にかけて数回あるようですが、一度の産卵でどのくらいの卵を産むのでしょうか。
卵の特徴や孵化の数などもふくめてご紹介します。
キアゲハの卵の色は?
産卵したてのキアゲハの卵は白みの強い薄黄色のような色合いで、1~2㎜ほどの小さな真珠のような丸形をしています。
この卵、日にちの経過とともにだんだん色が濃くなってきて、孵化の直前には黒みを帯びた色になります。
これは卵そのものの色の変化というよりは、卵の中にいるキアゲハの幼虫が透けて見えるからなのだそうです。
キアゲハの卵が孵化する数は?
キアゲハをはじめとするアゲハチョウの雌は、産卵に適した場所を求めて飛び回り、孵化した幼虫がすぐにエサにありつけるような好みの食草に1粒ずつ卵を産み付けていきます。
足先に葉の味を検知する器官を持っており、その機能を使って産卵場所を選ぶそうです。
基本的には1粒産卵しては次の場所に羽ばたいていくそうですが、これは孵化した幼虫が十分なエサを食べることができるよう、わざと卵1粒ずつの距離をあけているのではないかという説もあるのだとか。
卵のサイズは1~2㎜とかなり小さいので、見つけるのが大変かもしれませんね。
キアゲハの雌は、寿命である2週間の間に200~300個もの卵を産むそうです。
それらが無事に成虫になる確率は100分の1ともいわれかなり低いとされており、卵の段階でも寄生虫や周囲の環境など様々な影響により、その多くが孵化することすらできないという話もあるそうです。
2017年8月2日 長野県
キアゲハがシシウドの葉に産卵体制だったので、後で見たら産みたて卵があった。 pic.twitter.com/X6l3Txl6MB— 朝の光と風と (@nezumineko121) 2017年8月2日
まとめ
キアゲハの卵は蛹と同じで、中から幼虫が生まれる直前には中が透けてくるために色が変わるようです。
雌の成虫は、この2㎜にもみたない小さな卵を、幼虫が十分にエサを食べることができるように1粒ずつ距離をとりながら産卵していくのですね。
2週間という短い間をかけてたくさんの卵を産み付けていくところに、種の存続のために命を削っていく本能の神秘のようなものすら感じます。