ミヤマカラスアゲハは日本で最も美しいチョウと表現されることもあるほどです。
育った季節により『春型』『夏型』に分けられ、『春型』とよばれるものが特に美しいとされていますが、これらにはどのような違いがあるのでしょうか?
それぞれの型の特徴や、春型が美しいといわれる背景なども興味深いですよね。
羽化する時期によって変化するミヤマカラスアゲハの翅について調べました。
ミヤマカラスアゲハの春型と夏型とは?
春型というのは、秋に産卵された卵が蛹の状態で冬を越して春に羽化するものです。
幼虫が成長する時期が秋から冬にかけてになるため、エサになる食草の成長や新鮮さも低下気味になります。
幼虫も摂食量が少なくなる傾向があり、さらに蛹になって冬を越す間にも蓄えていた栄養分を消費してしまいますので、春に羽化する成虫が小型になるようです。
一方夏型は、春に産卵された卵から孵化した幼虫が成虫になったものです。
この時期は食草の新芽がどんどん増えていきますので、摂食量が多くなり栄養分も蓄えやすくなるため、大型の成虫になるということです。
翅を開いた状態の左右の長さ(開帳)が80~130mmと幅があることから、その大きさの差も想像できますよね。
春型と夏型の違いは大きさだけではなく、翅の模様や色調にも差が出ます。
一般的には夏型の方が黒化する傾向が強く、春型の方が色調の鮮やかさが際立つようです。
チョウの飼育方法の中で、低温処理をほどこして翅の色合いや模様を変化させるというものもあるほどですので、ミヤマカラスアゲハの翅の色合いの違いも、成長する時期の様々な環境の違いがひとつの要因になっているということなのですね。
まとめ
ミヤマカラスアゲハの翅の色合いには、生息している地域によっても様々な変化を見せるようです。
翅の美しさでマニアの間で有名といわれる地域の一つが、北海道や長野県のような冬の寒さのきびしい豪雪地域なのだそうです。
春型、夏型の枠にとどまらず、様々な変異をみせてくれるのも、ミヤマアゲハの魅力の一つなのではないでしょうか。